医療・保険

シンガポールで骨折したらどうする?どうなる?【SOS体験談】

人生で骨折したことは2回。1回目は高校生の時。そしてまさかの2回目が、シンガポールに来てわずか4か月の時でした。シンガポールに来て初めての救急対応が子どもではなく、まさかの自分になるとは思いもよりませんよね。

この国での救急車の呼び方も、医療事情も分からない中で、それでもどうにかしなきゃいけない状況が自分の身に起きてしまい、本気で焦りました。

万が一、動けないほどの怪我をしたらどうする?シンガポールで骨折の診断・治療っていくらかかるの?を体験談としてレポートします。

なぜ骨折?シンガポールの家に潜む危険

日本にいたときはALL絨毯のマンションに住んでいて、実家の床もクッションフロア。日本だったら、きっと事故につながらなかったんですよね。

でも、きっとこの「思い込み」が良くなかったんです。

シンガポールの住居は、床が大理石の物件がほとんど。
うちの場合、リビング・ダイニングとエントランスはツルツルした白い大理石。洗面所やキッチン、洗濯機置き場・物干し場などのいわゆる水回りは水はけの良い黒いタイル

この床、ひんやりして涼しいし、
水にも強くてシンガポールの気候にあっているのですが、本当に命取り。
白い大理石は濡れると特に滑りやすく、そしてどちらも食器を落とせば100%粉砕

それでも「今までだって1人でやってきたし、慎重にやれば大丈夫だろう」の思い込みから、1人で脚立に乗り、高いところの掃除をしていた土曜日の朝。

無理な体勢なんてしていないのに、
なぜか脚立の足元がよこすべりしてしまい、落下してタイルに「腰」を強打してしまいました。

腰がまさにこのイメージ

激痛で動けない!どうする?救急車?タクシー?

大人ですし、私自身どんなに痛くても我慢して人手を借りず自分で対処したいと考えるタイプの人間。正直、出産の痛みまでなら我慢して動けると思っています。

でも、今回は違いました。

床に倒れた状態で足首と足の指はわずかに動かせたので、「完全な麻痺(不随)にはなっていないな」と、とっさに思ったのですが、床に倒れたまま、どう頑張っても腰と臀部・大腿部が自力で動かせない!これは明らかにヤバイやつだ・・・とすぐに分かりました。

幸い意識はしっかりしていたので、夫を大声で呼んで来てもらいましたが、痺れもひどく人手を借りても体を起こすことができない状態でした。

シンガポールで救急車を呼びたいとき

その場で夫にシンガポールの救急体制を調べてもらったところ、

SCDF Emergency Medical Services | SCDF

  1. 日本と同じように救急番号があり、救急車を呼ぶことは可能(995番)
    955:Emergency Ambulance/1777:Non-Emergency Ambulance
  2. ただし、電話対応時の会話から緊急性が判断され、優先度の高い緊急状態なら無料非緊急と判断されても搬送を依頼したい場合は274ドルかかる。
    <SCDF Emergency Medical ServicesのFAQより引用
    SCDF does not charge for any emergency cases it conveys to hospitals.  Since April 2019, SCDF no longer conveys non-emergency cases to hospitals. However, $274 will be charged for each non-emergency case that SCDF conveys to hospital.
  3. 「緊急状態」とは簡単にまとめると以下のことを言う
    • 心停止や意識消失、脳卒中や呼吸困難などは最優先で対応
    • 緊急分娩や頭部外傷、アレルギーや喘息の発作、骨折などは最優先ではないが早い対応
    • 出血を伴う怪我や事故、発熱は軽度の緊急状態と判断され出動はしてもらえるが対応は遅い
    • 上記以外で緊急性がないと判断された場合は対応してもらえない(「1777」に電話をして対応するように伝えられる)
      https://www.scdf.gov.sg/から引用
  4. 救急搬送を依頼した場合、自分の希望する医療機関には搬送されず、通常ローカルの公的医療機関に運ばれる。
  5. そのためそこまで重症ではなく(または重症かどうか分からず)、自分の希望する病院に行きたい場合は、タクシーやGrabを利用することも選択肢の1つ
  6. 重症ではないが救急隊に来てもらいたい、自分の希望する病院に搬送してもらいたいといったときにはGleneagles(グレンイーグルス)が手配する民間の救急搬送を利用する方法もある

ということが分かりました。

その時の私の状況は、家庭内の転落事故で脚立の上から床に落ちた状態。
意識はあり、出血はしておらず客観的に見て緊急性は分からない。自分としては明らかに普通じゃないが、体がどうなっているのかは調べてみないと分からない・・・その場合、救急対応してもらえるとは限らないのでは?搬送してもらえたとしてもローカルの病院。検査の結果怪我の程度がひどい場合は、やはり最初から日系のクリニックに行った方が安心なのでは・・・と夫と話し、結局995番には電話せず、日系クリニックに電話を入れてもらったうえで、Grabで病院まで行くことになりました。

診察の流れ

向かった先は、ジャパングリーンクリニック。オーチャードロードのパラゴンメディカル内にあるクリニックです。

後日の通院時に撮影
後日の通院時に撮影
後日の通院時に撮影

日系クリニックでの診察・レントゲン検査

事前に連絡をしていたので、Grabのドロップオフポイントまでスタッフの方が車いすをもって迎えに来てくださっていました。椅子に座る姿勢すら辛くて悶絶しましたが、手を借りながら車いすに座らせてもらい、エレベーターで10階のクリニックへ。整形外科の診察までベッドで待たせていただくことになりました。

そこからは付き添いの家族と離れ、看護師の方に車いすを押していただき診察とレントゲンへ。診察は日本人の先生でしたが、ジャパンクリニックとはいえ、私の診察・検査に関わってくれた6~7名の看護師・技師さんは皆さんローカルの方で、これならローカルの病院でも変わらなかったかも・・・なんて思ったのを覚えています。レントゲンの結果、私が一番疑っていた骨盤骨折はしておらず、尾てい骨も大丈夫でしたが、他に疑わしい箇所があったため詳しくはMRI検査を行うことになりました。

ジャパングリーンクリニック内にはMRIはありません。そこで、同じパラゴンビルの8階にあり提携しているRadLink Diagnostic Imaging(医療画像診断センター)の予約を最短でとっていただき、後日MRIを受けに行くことになりました。

ローカルの医療画像診断センターでのMRI検査

後日、予約時間より早めにパラゴンビルの8階にあるRadLink Diagnostic Imaging(医療画像診断センター)に行きました。

後日の通院時に撮影

大きな待合室には座れないほど多くの人がいました。検査時間の書かれた紙を受付の方に提出し、問診票のようなものを渡されて記入。ここはローカルの検査場なので、勝手が分からずドキドキしながら待ちました。

後日の通院時に撮影。検査当日は人がいっぱいでした

順番が来ると名前が呼ばれるので、迎えに来てくださったスタッフの方に誘導されて移動。MRI用の検査着に着替え、鍵のかかるロッカーに荷物を入れ、いよいよ検査です。

RadLinkのサイトよりお借りしました

その場で検査結果を聞くことはできないので、検査だけして帰宅。すぐにジャパングリーンクリニックの先生からお電話をいただき、「仙骨」が骨折していることが分かりました。

幸い手術が必要な骨折ではなかったので、その後約1か月間の安静・固定で治癒しました。

初回の検査・診察等にかかった費用は?

支払いは、医療画像診断センターのMRI検査代も含め、まとめてジャパングリーンクリニックで行うことができました。

初回の診察料、薬代、レントゲン代、固定用コルセット代、MRI検査費用にGSTを加えて合計で約2,200シンガポールドル(日本円で約18万2000円)

なんと、レントゲン1回で3万6000円MRI検査だけで10万6000円もしてびっくり。

日本の場合、3割負担だと腰部レントゲン代がわずか630円、MRI検査費用が約5000円と言われているので、レントゲンで約57倍、MRIで約21倍の自己負担が発生しているということですね。。。

でもこれで終わりじゃないのが痛いところ。
MRIの結果受取りを兼ねた直近の経過観察、定期的な経過観察・・・と完治まで費用が掛かり続けます。今回は手術を伴わなかったのでこれで済みましたが、入院・手術が必要な怪我だったら・・・と思うと本当に恐ろしいです。

さいごに・・・

環境が変わると今までの「大丈夫」が通じず、思わぬ怪我につながることがあります。

シンガポールでは電球が切れたり、高いところやファンを掃除しようとしたり、物を取ろうとするときでも、大理石・タイル床の上では一人で脚立やはしごには乗らないこと。乗る必要があるときは、2人一組になって足場をしっかり押さえてもらうこと。

これが鉄則ですね。

シンガポールでは家庭内での子どもの頭がい骨骨折なども多いと聞きますが、大人だって普通につまづいたり、滑って尻もちをついただけでも大怪我につながりかねません。

本当に危ないので、どうか大人の方もお気を付けくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございます。また来てくださいね!
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