シンガポールの家探しについて、実際の経験をふまえてステップごとにご紹介してきました。
最後のステップはいよいよ内見から契約です。
内見時のチェックポイントとシンガポールでの賃貸契約の慣習についてご紹介します。
Step5: 内見のアポを取り、見学し、契約する
Property guru または 99.coで物件を検索し、実際に見学してみたい家を絞ったら、その物件のエージェントにコンタクトを取ります。
Step1: 子どもがいる場合、まず子どもの学校を決めて入学手続きをする
Step2: シンガポールの物件とエリア、家賃相場を知る
Step3: シンガポールの物件探しで希望すべきポイントを検討する
Step4: シンガポールの不動産検索サイトで物件を検索する
Step5: 内見のアポを取り、見学(+ビデオ撮影)し、契約する
エージェントにコンタクトをとる
エージェントにコンタクトを取る際、「なんて連絡すればいいんだろう」と不安に思う方もいるかも知れません。でも、大丈夫。不動産検索サイト内にコンタクトすべきエージェント情報や、ファーストコンタクトの例文がデフォルトで表示されています(99.coの場合)。
Property guru経由でエージェントに連絡する場合でも、下記の例文をまねてファーストコンタクトするとよいです。
シンガポールではオーナーさん(家主)に直接連絡ではなくエージェント経由での契約になるため、メールの丁寧さ・感じの良さを気にしすぎず、シンプルな英語で問題ありません。
内見・内覧のことを英語では『Viewing(ビューイング)』と言います。
property guruや99.coを見ると分かるように、物件ごとに異なるエージェントがついていますので、サイトからこちらが希望する物件の全てを1人のエージェントが車を使ってコンドを回ってくれるというスタイルではなく、それぞれ見たい物件についているエージェントにコンタクトします。
シンガポールでは前の居住者が入居中に家財が入った状態で内見をすることも少なくありません。その場合、エージェントが家主の都合を確認し、内見をアレンジしてくれ、室内を10分程度、敷地内の共用施設を10分程度かけて案内してくれます。
あとで何回も見直すために、内見時は必ず全ての部屋、キッチン、バストイレ、ランドリーエリアについて許可を得たうえで写真とビデオ撮影を行うことをおすすめします。
内見時に特にチェックすべきポイント
室内
窓やバルコニーの安全対策・・・・ コンドミニアムでは床から天井まで壁一面が窓になっている物件も少なくありません。我が家のリビングも一面が窓ですが、窓ガラスの内側に細い鉄格子のような柵が設置されています。シンガポールでは高層階からの転落事故を聞く事があり、特に子供のいるご家庭では、窓やバルコニーの安全対策が必要です。
ダストシュートが劣化していないか・・・・ 前の記事でダストシュートの位置は家の中でも問題ない(共用部にあることをこだわる必要はない)と書きましたが、確認すべきはダストシュートの位置ではなく「劣化」。ダストシュートの扉のしまりが悪い、隙間があいている、ダストシュートまわりが汚い場合は、その物件はおすすめしません。
室内に洗濯物干し場があるか・・・・ HDBでは、窓から張り出した物干し竿に洗濯物をかけて干している光景が日常。コンドミニアムを選ぶときにバルコニーありを選ぶこともできますが、重視すべきはむしろ室内の洗濯物干し場。
というのも、シンガポールはとにかく湿度が高いので、外干ししてもなかなか乾かない上に、部屋干し臭がする(特に雨季)。突然の雷雨も日常茶飯事。なので、家の中に洗濯物を干せるスペースがあるかどうか、それがどこにあるかは要確認。我が家では居室スペース側ではなくキッチンの奥にランドリースペース兼洗濯干しスペースがあり、洗濯物を干しているところが全く見えないのでお気に入り。シンガポールのコンドミニアムはたいてい乾燥機が設置されていますが、乾燥機にかけたくない物や洗濯物が多くて室内にも干したい場合があるので要チェックです。
キッチンの広さ、使い勝手の良さ・・・・ シンガポールはもともと外食文化のため、小さいシンクやコンロしかついていないケースもあります。自炊される方であれば、十分な設備が整っているかは要チェックです。私にはバストイレの広さよりもキッチンを重視したくらい重要でした。
収納スペース・・・・ これもかなり重視しました。というのも、コンドミニアムによって収納スペースはまちまち。立地は良くて高額でも収納が十分にない物件も少なくないので、荷物が多いご家庭や、荷物をできるだけ見せたくない(収納したい)方は内見時に必ず確認しましょう。
壁や天井の変色・はがれ・異臭・・・・ 高温多湿のシンガポールでは建物の劣化が早いので、壁や天井の変色、キッチンやバスルームの異臭がないか確認が必要です。水漏れや下水漏れ・排水設備の劣化、水漏れによるカビの発生の可能性があります。軽度であれば修理可能ですが、大規模な修理が必要になる場合もあるので、契約する場合は契約前に部屋の状況と修理が発生した場合の負担者・負担割合を確認しておく必要があります。
部屋のメンテナンスの良さ・・・・ 建物の作りが簡素で劣化が早いシンガポールでは、どれだけまめにきちんとメンテナンスしているかによって、部屋自体の劣化や虫害に大きな違いが出てきます。掃除・メンテナンスの良さもチェックポイントの1つです。
前の住人がペットを飼っていたか・・・・ 家具・家電つきの物件を借りるとき、前の住人がペットを飼っていたかは要注意。ハウスクリーニングしても、家具・家電は丸洗いできません。アレルゲンが残っていて入居後に謎のアレルギーが出る危険性あり。日本だと家具・家電つきの家を借りることってほぼないのでノーマークだったりするので注意が必要です。
どの家具・家電がつくのか・・・・ シンガポールの内見は、前の住人が住んでいるうちに行うことがほとんどです。そのため、ぱっと見ではどの家具・家電が残されるのか、あるいは前の住人が持って行くのかは分かりません。気に入った物件の場合は必ず確認することが必要です。
共用部・周辺環境
外廊下など家の周りの安全・・・・ 子どもがいる場合は、家の中だけでなく、外廊下などの壁・柵の高さもチェックしてください。外観の良さや吹き抜けにするために意外と柵が低かったりするので注意が必要です。
共用部の掃除・手入れ・・・・ 共用部の掃除・手入れがしっかりしているコンドは、それだけ全体のメンテナンスが行き届き、トラブルが少ないといえます。
ご近所さん・・・・ はっきり言って、両隣は日本人じゃない方がいいです。シンガポールの家は気密性が低く、開いた窓や換気口、隙間から音がダダ漏れなので、日本語が分からない方が両隣の方が気兼ねがないと思います。
金額と条件の交渉
内見を行い、気に入った物件が見つかったらいよいよ金額と条件面の交渉です。
シンガポールの物件は、特に家具・家電つきを希望する場合、入居手続き時に不動産検索サイトに記載されている金額が変わるケースが少なくありません。「fully furnishedと書いてあったけど、どの家具・家電がつくのか、何がつく場合にいくらになるのか」を最終確認しましょう。
また、逆に自分が持っているものを使いたい、劣化していて備え付けのものを使いたくないなどの理由から『撤去』をお願いしたい場合も、「撤去をお願いできるのか、お願いする場合に撤去費用がいくらかかるのか、誰がどのように撤去するのか」も確認いただくことをおすすめします。
我が家では、使い古した家具がやっぱり気持ち悪くて、入居後にデスクチェアーやソファーを自費で買い替えさせてもらいました。
仮契約と本契約
希望物件が決まったら、仮契約を進めていきます。
シンガポールでは、まず『Letter Of Intent (LOI)』という書面にて
- 契約開始日
- 契約期間
- 賃料・保証金
- 入居者負担となるもの
- エアコン定期点検及び清掃
- 少額修理に関する費用負担
- 引き渡しまでに家主が行うべき事項
などを記載したものを家主に提出します。
シンガポールでは通常、LOIを家主側へ提出するときに初月の家賃(1カ月分)を手付金として小切手等で支払う必要があります。
家主とのLOIが取り交わされたら、本契約として『Tenancy Agreement (TA)』いわゆる賃貸借契約書にサインして契約を締結します。この際に保証金として、2年契約の場合通常家賃2か月分、1年契約だと1か月分と、印紙税として家賃の1割程度を支払います。
賃貸契約時に必要な初期費用
- 手付金 家賃1か月分
- 保証金 家賃2か月分
- 印紙税 家賃の1割程度
さいごに・・・
シンガポールでの賃貸物件の探し方から内見・契約までを5つのステップにまとめて、ポイントを紹介してきました。
Step1: 子どもがいる場合、まず子どもの学校を決めて入学手続きをする
Step2: シンガポールの物件とエリア、家賃相場を知る
Step3: シンガポールの物件探しで希望すべきポイントを検討する
Step4: シンガポールの不動産検索サイトで物件を検索する
Step5: 内見のアポを取り、見学(+ビデオ撮影)し、契約する
実際に入居してから分かったこと、自分が入居前に知りたかったことをまとめたので、これからシンガポールに来られる方に参考にしていただけると幸いです。
シンガポールは住居費用が大変高い国です。
駐在の方は会社から家賃補助が出るので、5000~6000ドルくらいコンドミニアムに住んでいる方が多いと聞きますが、5000~6000ドルといったら日本円で約40万円~50万円。5000ドルの物件なら、初期費用として15,500ドル(約130万円)は必要になる計算。
うちは駐在ではないので、もっと家賃の安い物件に住んでいますがそれでもかなり苦しいです。次回は、番外編として「どうすれば家賃の安い物件を見つけられるのか、家賃を下げるとどんな物件になるのか」をご紹介したいと思います。