シンガポールへの引っ越しを決めたとき、まず気になることの1つは『家探し』ですよね。
「住みやすい家を見つけるコツはある?」
「駐在じゃなくても住めるのかな?」
我が家はいわゆる駐在ではないので、前任者からの情報も会社のサポートもなく、自力で物件を探し契約をしました。手探りでしたが、結果として大人も子供も大満足の物件に住むことができています。
物件の探し方はシンガポールでも日本でも基本的に同じ。
でも、やってみて分かったのはシンガポールならではの押さえておくべきポイントがあるということ。実際に住んで分かった点も含め、賃貸コンドミニアム選びのポイントをシリーズでお伝えします。
シンガポールでの「家の探し方」5ステップ
シンガポールへの引っ越しは、実際に足を運んでシンガポールの街を探索し、時間をかけて利便性や住みやすさを細かくチェックしてから契約できる方は多くないと思います。
我が家の場合、希望する条件の洗い出しやエリアの絞り込み、物件の検索や内見したい物件の選定まで(Step1~4)は全て私が日本から遠隔で行い、実際の内見と契約(Step5)は先にシンガポールに入国していた夫が行いました。
Step1: 子どもがいる場合、まず子どもの学校を決めて入学手続きをする
Step2: シンガポールの物件とエリア、家賃相場を知る
Step3: シンガポールの物件探しで希望すべきポイントを検討する
Step4: シンガポールの不動産検索サイトで物件を検索する
Step5: 内見のアポを取り、見学(+ビデオ撮影)し、契約する
Step1~4まではポイントさえ押さえれば、日本からでも十分可能です。
実際に我が家が物件を探した手順に沿って押さえるべきポイントご紹介します。
※この記事ではStep1と2について記載
Step1:子どもがいる場合、まず子どもの学校を決める
Step1: 子どもがいる場合、まず子どもの学校を決めて入学手続きをする
Step2: シンガポールの物件とエリア、家賃相場を知る
Step3: シンガポールの物件探しで希望すべきポイントを検討する
Step4: シンガポールの不動産検索サイトで物件を検索する
Step5: 内見のアポを取り、見学(+ビデオ撮影)し、契約する
何よりも譲れない条件を先に押さえ、そこからエリア・物件情報をあつめ、絞り込んでいきます。我が家の場合、譲れない条件・・・それは「子どもの学校」でした。
シンガポールは国土が東京23区と同じくらいと言われている小さな国。
実際、東側からも西側からも
セントラルエリアまではどちらも電車で40分程度。
つまり、大人の場合30分以上の電車通勤さえ許容できれば、駅近の物件ならそれほど不便を感じることはないと思います。
日本にいたときは都心まで電車で30分程度のところに住んでいたので、ある程度の通勤時間は許容するとして、まず子どもの学校を決めるところから始めました。
我が家は渡航時、子どもの年齢が6歳と3歳。
早い段階から2人とも日本人学校ではなくインター校に通わせようと考えていたので、
- 英語のできない子どもでも入学可能
- 学費が許容範囲の学校
を条件に複数校に絞り込み、それらの学校に資料請求をしたり、オンライン学校説明会と現地での学校見学の両方に申し込み、できる限りの情報を集めました。学校方針やカリキュラムを理解したうえで、こちらが希望する渡航時期での入学が可能かどうかを問い合わせ、まず学校の入学許可をとるところから始めました。
日本人学校に通わせる場合
日本人小学校はクレメンティ校とチャンギ校の2つがありますが、それぞれ学区が決まっているので、どちらに通わせたいかによってシンガポールのウエストエリアに住むかイーストエリアに住むかがおのずと決まります。
通学においては、スクールバスのルートも、バス止まるドロップオフポイントも決められているため、日本人学校に通わせるならスクールバスが停車するコンドミニアムが絶対におすすめ。
日本にいたときは「別に、ドロップオフポイントのコンドミニアムじゃなくても近くならそこまで歩けばいいんじゃない?」と思っていたのですが、とんでもない。シンガポールのコンドミニアムは敷地・区画が広いので、隣のコンドミニアムだとしても結構な距離を歩くことがあります(日本の隣同士のマンションとは全然違います)。
それに、子どもたちが帰ってくる夕方は土砂降りの雨が降っていることが多く、たとえ5分でも傘も差せないような雷雨の中で子供を歩かせるのは無理だと思います。
送り迎えは毎日のことですからね。
日本人学校に通わせるなら、バスルート上のコンドミニアムを選ぶことをおすすめします。
インター校に通わせる場合
決められたバスルートや学区はなく、事前に住所を連絡しておけば、スクールバスが止まるように手配してくれます。(もちろん常識的な範囲で。イーストサイドの学校に行くのにウエストサイドに住んでバスが来てくれるかといったらムリです)
その代わり残念ながらバス代は高額。
我が家では1年間のバス代が1人3600ドル(約30万円)しています。それが2人なので、バス代だけで年間60万円。
インター校なら学校のすぐ近くのコンドミニアムに住む、あるいは車があれば親が送り迎えすることも選択肢の1つなのかなと思います。
Step2: シンガポールの物件とエリア、家賃相場を知る
Step1: 子どもがいる場合、まず子どもの学校を決めて入学手続きをする
Step2: シンガポールの物件とエリア、家賃相場を知る
Step3: シンガポールの物件探しで希望すべきポイントを検討する
Step4: シンガポールの不動産検索サイトで物件を検索する
Step5: 内見のアポを取り、見学(+ビデオ撮影)し、契約する
子どもの学校を押さえたら、通学可能な範囲でどのエリアのどんな物件にするか、家賃上限をいくらで探し始めるかを決めていきます。
まずは、シンガポールの物件とエリアの特徴を調べていきましょう。
賃貸物件の種類
シンガポールの賃貸物件は、主として「HDB住宅」と「コンドミニアム」に分かれます。
HDB
HDBは、政府が不動産市場に介入し、国民のために建設した公営住宅。団地のように立ち並ぶ高層住宅は「HDB」と呼ばれていて、シンガポールの人口の80%以上がこのHDBに住んでいると言われています。
HDBは原則、外国人は購入不可ですが、賃貸は可能。
HDB所有者が貸し出している物件を借りることができます。シェアすると安く住むことができるので、現地採用の単身者などは大家さんと同居する形で部屋を借りたり、何人かでシェアしたりしているようです。
HDBは区画ごとにバス停があり、区画内にプレイグラウンドや小さい商店(なんでも屋さん)、ホーカーや床屋さんなどが併設されていたりします。
築浅のHDBだと「本当にHDB?」と目を疑うくらいきれいな物件もありますが、検索サイトに登録されている賃貸HDBは
- 1軒単位で貸し出されている物件数が多くない
- とても古い物件が多い
- 古い物件は備え付け収納がなく、水回りの老朽化や清潔感に不安がある
- 近年のHDBは家賃が安くない(新しくて広めの物件はHDBでも3000ドルする)
- 近年のHDBは狭いものが多い
のが実態。
国民に販売するために建てているので、新しいHDBがすぐにまるごと賃貸に出されることはほぼないと考えた方がいいと思います。
コンドミニアム
外国からの駐在家族の多くはコンドミニアムに住んでいます。
リゾートホテルのような外観で、プールやジム、テニスコートやバーベキューピットなどの設備が整っているのが特徴。家電・家具付き物件も多く、数年間住むだけの外国人には適しています。
ちなみにうちのコンドは郊外なので敷地が広く、ビーチバレーコート、バドミントンコート、スカッシュルーム、プレイグラウンド、レンタル農園などもあり表門から裏門まで徒歩10分以上。ヤシの木やカカオの木やバナナの木、プルメリア、ブーゲンビリア、ゴクラクチョウカなど南国植物が生い茂り、緑にあふれています。
- 1軒単位で貸し出されている物件数が多い
- 設備充実
- 家具・家電付きあり
- 狭めも広めも選べる
- 家賃が非常に高いのが難点
それがコンドミニアムです。
コンドミニアムの家賃相場
シンガポールの家賃は東京よりもずっとずっと高いです。
またエリアや物件によっても大きく異なります。
ファミリー向け物件(2~3ベッドルーム)の目安は?
シンガポールで子どものいる家族がコンドミニアムに住む場合の家賃は
※不動産検索サイト調べ
家賃の比較的安いエリアでも
月額3500ドル(約30万円)以上
家賃の高いベイサイドやセントラルエリアに住むなら
月額6000~8000ドル(約50万~67万円)が一般的
どんなに郊外でも
月額2800ドル(約23万円)を下回る物件はごくわずか
果てしなく郊外に行けば安くなるかというとそうでもなく、外国人が住みそうにないエリアにはコンドミニアム自体がないのが実情。
下記条件を家賃上限のみ変えて検索した場合の物件数で比較すると、シンガポールのコンドミニアムの傾向がお分かりいただけると思います。
House type :Condo
Rental type:Entire home
Floor area (sqft): 700(65平米)or more
Furnishing : Fully or Partially furnished
Bedroom : 2 Bedrooms or more
ご覧の通り、家賃上限を3000ドルとして検索すると、物件数が激減。
築年数や駅までの距離は不問でもこの結果なので、こだわりポイントを追加していくと選べる物件はかなり限られていきます。
1LDKの最低価格は?
単身者で家賃をおさえたい方は、ルームシェア(部屋借り)が一般的。
ルームシェアなら、家賃の高いエリアのコンドミニアムでも月額1000ドル(約8万5千円)~1500ドル(12万5千円)くらいで見つけることができます。
※HDBの場合、1部屋600ドル(約5万円)くらいから
もし家主や他の人とのルームシェアではなく1軒単位で借りたい場合、家賃の高いエリアなら最低でも1LDKで2300ドル(約20万円)はします。
各エリアの特徴と家賃相場
東京23区と同じくらいの大きさのシンガポールですが、エリアによって住みやすさや街の印象は大きく異なります。ここでは「セントラルビジネスディストリクト」「セントラルエリア(オーチャード周辺)」「ウエストエリア」「イーストエリア」「サウスエリア」に分けてご紹介します。
セントラルビジネスディストリクト ― 家賃$$$$$
代表駅:ラッフルズプレイス、マリーナベイ、タンジョンパガー、クラークキー
マリーナベイサンズやマーライオンパークに近く、大手の外資系企業が数多く入居する高層オフィスビルが建ち並ぶエリア。いわゆるビジネス街+観光地ですね。周辺にあるのは駐在員向けの高級コンドミニアム。家賃が超高額なうえに郊外に比べて駅近に大型スーパーが少ないため、庶民ファミリーには不向き。
ワンルーム 2300-4000SGD程度
2BED 4000-6000SGD程度
3BED 6000-8000SGD程度
セントラルエリア(オーチャード周辺) ― 家賃$$$$$
代表駅:オーチャード、 サマセット、 ドビーゴート、リバーバレー、ブギス
シンガポールの銀座といわれるショッピングストリート「オーチャード」を中心とするエリア。日系クリニックや日系の習い事も多く、周辺のコンドミニアムでは日本人コミュニティが確立されています。日系デパートや最先端ショッピングモールが立ち並ぶので便利ですが、その分生活コストは高額になりがち。
ワンルーム 2300-4000SGD程度
2BED 4000-6000SGD程度
3BED 6000-8000SGD程度
サウスエリア ― 家賃$$$$
代表駅:レッドヒル、チョンバル、アウトラムパーク、ハーバーフロント
オーチャードやベイエリアから約20分。職場や繁華街にも近く、それでいて日本人学校(幼稚園/小学校/中学校)がある西側のクレメンティにもアクセスしやすいことから、日本人駐在ファミリーに人気のエリア。
特にチョンバルは、ウェットマーケットとよばれる生鮮食品の市場があり、おしゃれなベーカリー・カフェも点在していることから人気。
セントーサ島の対岸にあり、モノレール乗り場があるハーバー・フロントにはシンガポール最大のショッピングモール「ビボシティ」があります。
ワンルーム 2000-3000SGD程度
2BED 3500-5000SGD程度
3BED 5000-7000SGD程度
ウエストエリア ― 家賃$$$
代表駅:ジュロンイースト、クレメンティ、ブーンレイ
オーチャードやベイエリアからMRTで約30分~45分。ウエストエリアは、古くから東部がベッドタウン・西部が工業地域として開発されてきたエリアで、築年数の古い物件が多め。
ウエストエリア東部のクレメンティには日本人学校(幼稚園/小学校/中学校)があり、日本人駐在ファミリーが多く居住しています。大きな公園も多く、賃料や物価も比較的リーズナブル。
中でもEastWestラインとNorthSouthラインが乗り入れているジュロンイーストは西側の中心地。駅周辺にショッピングモールが立ち並び、ドンキもダイソーもUNIQLOも無印良品もフェアプライスXtraもあり便利。ジュロンイースト以西のエリアはシンガポール国民が住むHDBが多くなります。
ワンルーム 1500-2500SGD程度
2BED 3000-4500SGD程度
3BED 4000-6000SGD程度
イーストエリア ― 家賃$$$
代表駅:パヤレバ、ベドック、シメイ、タンピネス
オーチャードやベイエリアからMRTで約40~45分。イーストエリアは、チャンギ国際空港に近く、空港をよく利用する方に好まれるエリア。海岸線沿いに約8キロにわたる公園があり、欧米ファミリーにも人気。家賃がリーズナブルで西側より築年数の浅い広い物件が多いのが特徴。
中でもイーストウエストラインとサークルラインが乗り入れているパヤレバは、駅周辺に3つのショッピングモールがあり便利。東端のチャンギ国際空港の複合施設「ジュエル」はアトラクションあり、ショッピングモールあり、レストランありで買い物にも観光にもおすすめのスポット。
ワンルーム 1500-2500SGD程度
2BED 3000-4500SGD程度
3BED 4000-6000SGD程度
Step1・2のまとめ
私は最初「うちは駐在じゃないから、家賃をおさえるためHDBでもいいんじゃない?」なんて思っていましたが、明るくきれいな物件を探していくと、郊外であっても思いのほか物件数がなく、あったとしても家賃がコンド並みに高いことから、結果的にコンドミニアムにしました。
多少高くてもコンドミニアムにして大正解だったと思っています。
次の記事では、実際に住んでみて分かった、コンドミニアム探しで押さえるべきポイントと必要ないのポイントをご紹介します。「10年超の物件はダメ」「ダストシュートは家の外にあるべし」という駐在さんたちの定説は実際どうなのか、他に注意すべきポイントは何かお伝えします。