シンガポールでも、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、外食禁止や原則在宅勤務など規制が強化されました。
うちの子どもたちが通うインター校も急遽オンライン授業に切り替え。
日本では、昨年の緊急事態宣言の際、なかなかオンライン授業に切り替えられず「学力低下・学力格差」が叫ばれ、オンライン移行を切望する声が多く聞かれていました。そのときうちの子はまだ保育園だったので、ピンと来ていなかったのですが・・・
えっ!?年少と小学1年生はどんなオンライン授業をするの?できるの?
そのリアルをまとめたいと思います。
先生たちはお休みの日や放課後も、授業で使う動画を撮ったり、プログラムを作って送ったり、個別のPWを送ってくださったり、本当に大変だろうなと思うのですが・・・
このオンライン授業、我が家にとっては想像以上に困難です。
お願いだからやめてー!!!!!せめて宿題だけにしてー!!!
オンライン移行時にPC・周辺機器の貸与はあった?
うちの子どもたちが通うインター校では、PCや周辺機器、ネットワーク環境に関する確認はなく、なかった場合の貸与の連絡もありませんでした。
親たちのグループアドレスのやり取りを見ていても誰も気にしていなかったので、昨年、皆さんオンライン授業を経験しているから問題ないのかな。
PC
うちはワタシがシンガポールに来てからたまたまノートPCを2台買っていたので、奇跡的に子どもが使えるPCがありセーフでした。
プリンター
コンビニにプリンターがない国、シンガポール。
印刷をしたいときに気軽に使えないのが本当に不便で、規制強化が発表される前の5月頭にたまたま購入していました。課題を印刷して、記入したものを写真に撮ってアップロードするアクティビティがあるので、買っておいて助かりました。
ヘッドセット
親の目が届くように、うちでは姉弟が同じテーブルの隣同士で授業を受ける形にしたので、子供用のヘッドセットが必要になり、オンライン授業が始まってから、急いで買いに走りました。
でも、ちょうどいいものがなかなか売っていない!
電気屋さん3店舗とPOPULARを回り、音楽を聴くだけのものは見つけられたのですが、ミュートを解除して発言する必要があるので、子供用のカラフルなヘッドフォンは却下。
電気屋さんに相談して、ソニーのヘッドセットを購入しました。お花はシールです。
オンライン授業のルールは?
うちの学校では、Zoomセッションでは、生徒は常にビデオをオンにし、顔出し必須。
先生が生徒の様子を見逃さないように、背景の使用は禁止(ぼかしはOK)。
オンラインでも制服(PEユニフォーム)での受講が必須です。
授業スタイルは? : 年少の場合
えっ!?年少でもオンライン授業があるの?
うちの息子はインター校の3-4歳児、いわゆる年少さんですが、
朝9時から午後3時15分まで、30分-45分刻みで10コマの時間割が組まれ、3コマのZoomセッション、4コマのe-learning、2コマのビデオタイム、1コマの自主学習時間で1日が構成されています。
算数の授業では、授業時間内に自宅の靴を大>小に並べて、写真を撮ってアップロードしなければならなかったり、アートの授業では、短い時間で作品を仕上げ、それを写真を撮ってアップロードしなければならなかったり。
それもこれも、年少の子どもが1人でできる訳がないので、親のサポートが必要です。
英語の授業では室内を大捜索
英語の授業では、実際の授業さながらにフォニックスや英単語が繰り広げられていました。基本はミュートですが、かなりインタラクティブで、頻繁に声をかけられたり、答える必要があります。
英語が話せる子なら、もちろんそれでいいのですが・・・入学から4か月の息子は全く話せないので、親が授業を一緒に聞いて、何をすべきか、何を答えるのか把握しておかなければいけません。
英単語では、「“G”のつくものを探して持ってこよう!」なんて突然言われて、大捜索。
おもちゃのゴリラを見つけて、急いで画面の前に戻ったはいいものの、今度はなかなか先生があててくれず、自分の番が回ってくるのが遅くてへそを曲げて脱走。もう、トホホすぎます。
授業スタイルは? : 小1の場合
娘はインター校の小学1年生。
同じく朝9時から午後3時15分まで、30分-45分刻みで10コマの時間割が組まれ、3コマのZoomセッション、4コマのe-learning、3コマのビデオ学習で1日が構成されています。
Zoomレッスンとe-learningのコンビネーションは年少の息子と同じですが、こちらは、Zoomセッションと課題対応がますます本格化。
あっという間にOverdue(提出期限切れ)になる恐怖
e-learningやビデオ学習といっても、見て終わり、やって終わりではなく、課題を提出する必要があるんです。
画面上で書き込めて、そのまま提出できれば簡単なんですが、添付されている課題はすべてPDF形式。せめてWordとかPPTとか、そのまま書ける形にしてくれればPCだけで完結するのですが、PDF形式の課題を子どもにやらせるには、それをプリントアウトして、手書き/手描きさせ、再び紙を画像でアップロードして提出する必要があるから大変。
しかも、課題提出までの時間がわずかしかない!!!
授業中にやったものを、基本的にその時間内か授業後速やかに提出しなければなりません。
ワタシも仕事中なので、せめて仕事が終わってから対応しようと思ったら、提出期限が切れて赤文字になってる・・・もう慌ててやらせて提出しました。(今はすべて提出済)
しかも、その課題が、英語も中国語も全くわからない娘にとっては結構難しい。
ビデオを見て、ストーリーに合わせてセリフを書いたり(もちろん英語)、中国語の書き取りをしたり。到底一人でできる内容ではありません。
授業中の提出課題ではなく、せめて宿題にしてくれないかなあ・・・
宿題にしてくれれば、仕事が終わってから夜やらせるとか工夫の余地があるのですが(泣)
英語の話せない娘には、Zoom授業はハードルが高すぎる
大人だって、仕事で英語のみの会議にでて発言するハードルって高いですよね。
娘にとってオンライン授業を即座に理解し、発言することは、クラスルームで受けているとき以上にハードルが高いようで、算数以外はぼんやりしがちだったり、聞くのにも堪えられず席を外してしまいがち。
さらに、全ての生徒を丁寧にケアしながらどんな子もincludeしてくれる年少の息子の先生と違い、小1の娘の先生は「Zoomでも教科を教えて授業を進めること」に軸を置いているようで、英語の話せない娘の様子をうかがったり、発言機会を設けたり、発言できるまで待ってくれるようなことはなく、Zoomでも手をあげて発言できる子どもたちとだけ授業を進めている印象。
娘の授業を横で聞いていて、もしかして全員に順番に質問しているのかな?と分かると、いつ娘に発言機会が回ってきても困らないように、ワタシも紙に簡単な英文を書いて、その意味と読み方を娘に教え、何回も練習させながら待機していたりするのですが、英語の話せない娘に順番が回ってくることはありません。
Zoomでは娘は常に蚊帳の外。おいてけぼりで、常にオブザーバーと化しているので、インター校に入れて本当に良かったのかな・・・と授業を聞いていてとても悲しくなります。
オンライン授業を支える親の実態・・・
学校側の期待値と実際の大きなズレ
こんなに高負担なオンライン授業ですが、学校からのレターでは「親がつきっきりで先生をする必要はない」という記載がありました。
The role of the Parent
Please remember you do not need to be a teacher to encourage your child to learn ー be positive and interested in your child’s learning.
Help them to start their learning tasks but you do not need to be with them all the time.
でも、我が家では実際、2人の子供につきっきりにならざるを得ません。
年少と小1の子どもが1人でオンライン授業対応できるのか
小学校高学年以上ならともかく、英語のわからないPCにも詳しくない年少と小1の子どもが1人でオンライン授業の対応なんてできる訳がないんです。
- 自分でその都度、ZoomのミーティングコードやPWなんて入れられない
- 30分-45分刻みで次のセッション内容を把握して、時計を見ながらタイムリーに次で使うシステムにアクセスするなんてできない
- e-learningに入ってもシステムの使い方はわからないし、英語で書かれた画面上の指示も読めない
- Zoom授業を聞いても、英語で何を言われているのか理解できない
(学校にいたら雰囲気で理解できたり、一人だけできていなかったら手取り足取り先生が教えてくれるのですが、それがない) - ダウンロードして、プリントアウトして、課題をこなした上でそれを写真に撮り、その画像をシステムにアップロードして提出ボタンを押すなんて、年少や小1の子どもにできるわけがない
- 4歳の息子は、そもそも自分でポインターを合わせて、クリックすることもできない(=画面操作はすべて大人がやらなければならない)
とにかく1日中、大人が時間割とログイン情報を片手に、つきっきりでやることを説明して、なんとか席に座らせ、やらせなきゃいけない。
Zoom中の30分-45分間ですら、年少の息子は画面の前から頻繁に逃亡したり、椅子に立ったり・・・常に捕獲しておかないとじっと画面の前にいることもできないし
(ほとんどフレームアウトで不参加の子になっています)、
ある程度座っていられる小1の娘でも、自分でマウスを動かして変なところを触るので、10分に1回は「ママー画面がおかしい!来てー」→入りなおす/画面を表示させるの繰り返し。
こんな状況で仕事になるはずがありません!!!
だけど、こんなにバタついているのはうちだけで、年少でもみんなちゃんと席に座って先生からの振りにも英語で答えてるし、絵や課題もタイムリーにやって先生に見せてるんですよね。
小1にもなると、子どもだけで自分の子供部屋で授業をうけていたり、広い部屋の遠くのテーブルで仕事をしている親が画面に映っていたり。もちろんちゃんとZoomでディスカッションしていたり。
うちの子どもがバタついてしまうのは、やはり英語が分からないせいなのか
我が家がバタついてしまうのは、オンライン授業に慣れていないからか
不思議すぎる・・・
さいごに・・できる限りである程度諦めるしかない
日本だったらきっと、
「親がそこまでのサポートはできない」
「URLとかログインIDとかパスワードとか言われてもよくわからない」
「子ども1人1台パソコンなんてないし、子供用のマウスやヘッドホンもない」
「プリンターが家にないから、課題をダウンロードして記入してアップロードしろと言われても困る」
なんて保護者の声が殺到するはずですが、、、
シンガポールはICT教育が進んでいるからなのか、昨年のコロナ対応で経験済みだからなのか、息子のクラスでも娘のクラスでも、そんな声は皆無。
両親とも家にいるとはいえ、仕事中ですから仕事をやらないわけにはいかない。抜けられないミーティングが何件も入ってる。
子どもは慣れない英語のZoom授業と、規制強化で家族で外出できないストレスで普段より不安定な状態。
と、なると、子どもが画面から消えてしまって不参加になっていても、課題が提出期限を超えてしまっても・・・できる限りやるけど、ある程度諦めてバランスをとらないと精神的にも肉体的に参ってしまいそう。
6月13日までの約1か月間、もつかな・・・心配です。